恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


「あ、俺本署に行かないと。
悪い、宮本。彼女がこの携帯の持ち主だから、あとは頼むな」



私の携帯をおまわりさんに渡した警察官は、私に小さく手を挙げて交番を出て行った。



うそ……

願いが叶っちゃった。



放心状態の私の前に現れたおまわりさんは、目を合わすことなく私に椅子に座るようにすすめた。


「ここに座って、書類に記入をお願いします」



まるで初対面のような口調と冷たい態度。


私は椅子に座ると、用意されたボールペンを握り、書類に目を向けた。




どうしよう


どうしよう


どうしよう――‥





机を挟んで向かえに座ってるおまわりさん。


おまわりさんの顔が、怖くて見れない。






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