恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



夕食の後にリビングでケーキを食べ始めていると、玄関からお父さんの声が聞こえてきた。



「ただいま」


「おかえりなさい。あなた、今日は早かったのね?」


「ん……まぁな。先に着替えてくる」




お母さんに無愛想に答えたお父さんは、着替えに二階に上がっていった。

そして着替え終わると、いつもより速いテンポで階段を降り、ケーキを食べてる私の目の前にやってきた。



「ん?」

フォークを口に入れている私の目が丸くなる。


するとお父さんは、背中に隠していた大きなクマのぬいぐるみを私の顔の前に差し出した。



「誕生日だろ?」


「う……うん。ありがとう」



目が丸くなったままの私を見て、お父さんは恥ずかしそうに顔を赤く染めた。


そしてお母さんが温め直したハンバーグを、私と同じように頬張って食べ始めた。





いつも帰りが遅いのに、今日は私の誕生日のために早く帰ってきてくれたんだね?




私はお父さんの席の隣に移動して、残りのケーキを食べ始めた。






あまり会話のない父親と娘だけど……

お父さんはちゃんと私のこと見てくれてるんだね。




ありがとう、お父さん。









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