恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
こんな時でも、頭の中でおまわりさんの声をリピートしている私。
『あ……』
たった一言
たった一文字だけど
初めて聞いたおまわりさんの声。
低いのに爽やかで、とても優しそうな声……。
嬉しくて嬉しくて、胸の音が飛び出てきそうだよ。
扉に背中を預けている私の耳に、聞き慣れたおばあちゃんの声が聞こえてきた。
「美樹? 美樹ちゃんかい?」
おばあちゃん……?
おばあちゃんの声を聞いて、はっと我に返った。
うちにおまわりさんがいるってことは、うちで何かあったってことだよね?
「おばあちゃん!!??」
私は慌てて玄関の扉を開けた。