恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

ふたつの想い



トイレから急いで戻ると、そこにはおまわりさんしかいなかった。


あれ? 智子と拓也くんは……?



キョロキョロしながらおまわりさんに歩み寄ると、おまわりさんが口を開いた。


「智子ちゃんと拓也なら先にお化け屋敷に行ったよ」

「えっ、そうなの?」

「うん。俺達も行く?」

「……うーん」


私はおまわりさんの言葉に、すぐに頷けずにいた。


おまわりさんとお化け屋敷に入ってみたい。

けど、その前に……。



「ん?」

はっきりと答えない私に目を丸くするおまわりさん。


私は思いきっておまわりさんの手を握った。


「ちょっと、その前に教室に付き合って?」

「え……?」



一瞬戸惑いを見せたおまわりさんに私はにっこりと笑い、

おまわりさんの手を引いて校舎の中に入った。








< 301 / 712 >

この作品をシェア

pagetop