恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


真剣な顔でいる私を、おまわりさんが包み込むように優しく抱き締めた。


「その言葉だけで十分だよ……」



私の耳元で囁くように告げたおまわりさんの言葉に、私は目を丸くした。


え……?

おまわりさんの胸の中で、無意識に入っていた肩の力が抜けるのを感じた。


今の言葉の意味って……。




「今は……ね」


私に顔を向けたおまわりさんが、悪戯な笑みを見せながら言った。


おまわりさんが見慣れたいつもの表情になった途端、私の心はそれまでとは違う恥ずかしさでいっぱいになった。


なんだかもの凄い告白をしてしまったんじゃないかと今更ながら思ってしまう。





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