恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「おまわりさん!」


気がつくと、私は叫んでた。


昨日はあんなに声を出そうとしても出なかったのに。



あまりにも大きな声に、目を丸くして振り返ったおまわりさん。


私は顔を真っ赤にして両手で口を塞いだ。



やだ、恥ずかしい……。




真っ赤になっている私に、おまわりさんが口を開いた。


「おまわりさん……か。
そういえば、今までそんなふうに呼ばれたことなかったな。
いつもみんな警察の人とか警官って言うから」

「あ、あの……」



どうしよう。

幼稚園児でもないのに、こんな呼び方して……。



「なんか嬉しいよ」



え……?



笑顔で言うおまわりさんの言葉に、今度は私が目を丸くした。





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