恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「宮本ぉ、また一緒にこうやって飲もうな。今抱えてる……事件がもうすぐ解決しそうなんだ。
そしたら……今度は二人で飲もぅな……」
「はい」
「あらあら、お父さんたら話しながら眠っちゃって。
ほら、起きて。こんなところで寝たら風邪ひいちゃうわよ」
時計が12時を回る頃、お父さんは酔いつぶれてソファで眠ってしまった。
お母さんが何度も起こそうとしたけどお父さんはビクとも動かなくて、おまわりさんが寝室までお父さんを運んでくれた。
おまわりさんと話が出来たことが本当に嬉しかったみたい。
スースーと気持ち良さそうに寝息を立てているお父さんの寝顔は、薄っすらと口元に笑みが浮かんでいるように見える。
「おまわりさん、ありがとう」
寝室から出ると、私はおまわりさんに微笑みながら言った。
「これくらい、いつでもするよ」
「ううん、そうじゃなくて……」
笑顔で力こぶをつくって見せるおまわりさんに私は首を振った。
「ん?」
「私ね、おまわりさんや家族のことが聞けて嬉しかった……」
今まで知らなかったおまわりさんのこと。
おまわりさんが話してくれて嬉しかったんだ……。
おまわりさんは優しく私の手を握り、そっと額を重ねて口を開いた。
「なかなか話す機会がなくてさ……お父さんのおかげだね」
おまわりさん……今、初めて私のお父さんを
『お父さん』って呼んだね……?
なんだか胸の中が嬉しくてくすぐったい。
私はそっとおまわりさんの柔らかい唇に唇を重ねた。