恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
好きだよ
おまわりさん……。
唇を離すと、おまわりさんの真っ赤な顔が至近距離にあった。
「美樹ちゃん……」
「……ん?」
「俺、今お酒入ってるんだから……
止められなくなるよ」
止められなくなる……?
私から目を逸らすおまわりさんの顔を覗き込んだ瞬間に、私の鼓動は大きく波打った。
「あっ……あの、ごめんなさい」
急に顔が火照り始めた私は、慌てておまわりさんから視線を逸らし謝った。
「いや、別に謝んなくていいんだけど……。
ごめん、俺、もう部屋に入るね」
「う、うん」
おまわりさんは赤い顔のまま、お母さんが布団を敷いてくれた部屋に向かって歩き始めた。
私ったら、何やってるんだろう。
あんな風に大胆にキスしちゃうなんて……。
私の溜め息と同時に、突然おまわりさんが振り返った。
もしかして、今の溜め息に気づいた……?
おまわりさんは少しの間の後、無言のままもう一度こっちに足を向けた。