恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


帰り道、智子とクリスマスプレゼントを買いに街に向かった。



補習があることに落ち込んでなんかいられない。


私には、補習の前におまわりさんと初めて過ごすクリスマスが待っているんだ。




私は迷いに迷って、おまわりさんに紺色の手袋とマフラーを買った。


おまわりさんが初めて会った時に紺色の制服を着ていたせいか、色で迷うことはなかった。


この色は絶対に似合う。

そう思ったんだ。





智子は「クリスマスだからね」と言い、拓也くんに赤と緑のパンツを買った。


なんだかとても楽しそうに買う智子の頭の中には、もうすでに箱を開けて驚いている拓也くんの姿があるんだと思う。


二人は本当に仲が良くて、素敵なカップルなんだ……。



「じゃ、またね」

「拓也くんにもよろしくね」

「うん、祐介さんにもよろしく。
明日はお互い素敵なイヴにしようね」

「うん」



智子と私は、店を出てお互い家路についた。


冷たい空気がひんやりと私の体を冷やす。

だけど、胸の中はあったかいんだ。


おまわりさんへのプレゼントを抱き締めながら、私は軽い足取りで家に帰った。






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