恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「今、青木とどうにかなりたいとは思ってない。
……いや、本当はどうにかなりたいんだけど、それは避けたいんだ」
さっきから時々顔を左右に向けて話してる先生。
先生、もしかして理性を口にする時は右、本音を話す時は左に顔が向いてる……?
「青木が幸せならそれで良い。けど、ずっと苦しそうにしてるから……」
先生、もしかして担任が外れてからも私のことを心配してくれてたの……?
「おまえは一人じゃないってことを知ってほしかったんだ。
おまえのことを大切に思ってる奴がここにいるって――」
先生は私を真っ直ぐに見つめ、親指を自分の胸に向けた。
「ありがとう……」
先生の気持ちが純粋に嬉しかった。
私をこんなに大切に思ってくれてる人がいたなんて、知らなかったよ……。