恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
スパゲティーを食べ終えた私たちのテーブルの上に、後から注文したコーヒーとミルクティーが置かれた。
一哉はコーヒーに砂糖だけを入れて、ゆっくりと飲み始めた。
「美味しかったな」
「うん。今度智子にもこのお店教えてあげよう」
一息ついた私は、一哉に視線を向けた。
「ねぇ、一哉」
「何?」
「あのね、ちょっと気になってることがあって……」
お父さんの事件のこと、警察学校での噂を一哉に話した。
一哉は真剣な表情で、時々相槌を打ちながら話を聞いてくれた。
話していると、いろんな記憶が甦って胸が苦しくなった。
お父さんの病院に駆け付けた時の恐怖、
意識が戻らない不安、
懸命なリハビリの姿、
目に見えない犯人……。
全てを話し終えた時、私の指先は小さく震えていた。