恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
視界がどんどん歪んでくる。
訳のわからない涙が、私の頬を濡らしていた。
やだ……どうして泣いてるの……?
自然と聴こえてくる曲が、胸を熱くする。
今にも瞑れてしまうんじゃないかというくらい、痛みに近い熱さが私の心を埋め尽くそうとした。
この曲……
涙の訳を掴みそうになった私は、必死で泣くのを堪えようとした。
何かで聞いたことがある。
人は、いろんな記憶を持ち、忘れていく生きもの。
だけど、体の細胞一つひとつに、記憶は刻まれてる。
だから、音楽を聴くと、頭では忘れていても、細胞がその当時の思い出や想いを甦らせるって……。
必死で涙を堪えようとした。
だって、この曲は……
おまわりさんの家で聴いた曲。
キッチンの片隅で、おまわりさんが私にプレゼントをくれた時に流れていた曲……。