恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



初めて出逢った時から感じていたのかもしれない。



あの桜の花びらが俺の肩に舞い降りてきた時。

手のひらに乗せた花びらが、美樹のもとへふわりと飛んだ瞬間。


まるで桜のようにピンク色の顔をした美樹と、視線が重なった。



あの時、俺の中で何かが生まれたんだ。




初めはわからなかった。


この音はなんだろう、

このざわめきはなんだろうって。



けど、いつも気になってた。




交番の前を走って通る美樹。


窓からほんの少し顔を出している美樹。


苦手なコーヒーに口付けて顔をゆがめた美樹。


小さな手で、恥ずかしそうに俺を抱きしめる美樹。



いつもピンク色の顔をして、

一生懸命走って、笑って、泣いて……。






一生懸命咲いて、俺のもとへ舞い降りてきてくれたね。
















あの桜の花びらは


まるで美樹のようでした……。









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