恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

おまわりさん




朝、目が覚めると鳥の囀りが聴こえた。


重たい瞼を擦りカーテンを開けると、空の中で咲いている桜が目に映った。



「おはよ。頑張って咲いてるね……」



いつもならとっくに散ってるはずなのに、今年の桜は頑張り屋さんだね……。


散りそうで散らずに咲き誇っている桜が、なんだかとても愛おしく思えた。








昨日の夜、この家に戻った時に変なことが起こった。

体のどこかがおかしくなったんだ。


鼻がつまってるわけじゃないのに息が苦しくなったり、心臓が痛くなったり。


それは、なぜか事故の後遺症とは思えなくて……。



この窓やベッド、そして身につけていたこのネックレス。

それぞれを通して、何かが見えてくるような気がした。


それが何なのかわからないけど、考えたらここが変になる。


胸の奥の奥の奥あたりが、

なんだかおかしくなるんだ……。






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