宿命に逆らって
「言ってくれる?」


「・・・・・言えない。これは、個人の問題だから・・・」


そういって、すぐに馬に乗った。


「帰るの?」


「帰る」


「・・・・・・・・そっか・・・ごめんね?しつこく聞いちゃって・・・」


「・・・・・」



男の子は何も言わずに帰っていった。

その姿を、静かに八雲は見送った。








それからしばらく、城に戻ってもあの男の子の顔が頭から離れなかった。


寂しそうな・・・孤独を知っているような顔だった。

自分は姫なので、いろんな人から愛され、守られて生きているので、孤独のつらさというものは正直知らない。
それでも分かってしまう。

誰も近くにいないで、愛をもらっていない顔。




「・・・・・・そういえば・・・名前を聞くのも忘れたな・・・・」




どんな子なんだろう・・・・


いつも何をして生活しているんだろう・・・








幸せに暮らしているのかな・・・・・?
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