月の果て


君はそれを望んでいないから



「自分の部屋に帰れ」




解放してあげる────…



キルトは、冷たくそう言い放つと出口へと足を向けた。




昔は、君が俺を呼び止めると振り向いた。



だけど──…


「キルトっ!!」

ソフィは、声を張り上げた。





もう、振り向かないよ。


君をすべての柵から




解放してあげたいから────…







…だけど、せめて


俺の手の届くところにいて..




キルトは、空に浮かぶ月を見上げた。
< 232 / 482 >

この作品をシェア

pagetop