月の果て


「───…は?」

と大きなハサミを持った藍色の髪をした少年は、立ち止まり振り返った。





「み、道を教えて下さい」

ソフィは、息をゼイゼイと切らしながらそう言った。


「うん。…とりあえず落ち着け」

少年は、ソフィをそう諭した。



───…数分後。


「アナタは、トラキアというのね。宜しく」

落ち着きを取り戻したソフィは、笑顔でそう言った。


「宜しくな。ソフィ」

トラキアと呼ばれた少年もにかっと微笑みかけた。


「ところで、トラキアの持ってるそのハサミは何なの?」


「あぁ、これか?」

トラキアは、大きなハサミに視線を移した。



「これは、芝を切ったり木を切ったりするものさ」

とトラキアは、得意気に言った。



「まぁっ!じゃあ、トラキアは庭師なのね?」


「んー?残念」


「違うの?」


「うん。俺は──…、やっぱいいや」

とトラキアは、軽く瞼を伏せた。


「ふーん?なら、いいわ」

とソフィは、不思議そうにトラキアを見た。
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