純恋



ガラッッ━━


「お待たせ!きょん」



窓の外を見ていた私は、

ドアの方に視線を移す。





少し息を切らした雅人が、帰ってきた。







………やっぱ待っててよかった。






安堵の気持ちが私を包んだ。


ちょっと嬉しい。


雅人は、小さく息を整えながら、




「あの、いきなりなんだけど…」





改まって、私の机の前まで来る。






私は、その一つ一つの行動を

目で追うように見ていた。









「頼むっ!勉強教えてくんねーかな?」





パンっと合わせた手を


自分の目の前に持ってきて


私に頭を下げている。










.
< 6 / 104 >

この作品をシェア

pagetop