何処にでもあるラブストーリー

第11章 館崎 健司 その5

 僕の家は、東武東上線沿線にあった。 姉夫婦が、購入したマンションの一室を姉夫婦が、茨城の水戸に転勤に出ている間だけ、安い家賃で僕一人ゆったりと住んでいた。 

朝起きて、南側の窓を開けると、冷たく気持ちいい風が室内に吹き込み、部屋の温度を少し下げる。  

表が「爽快」ウラが「憂鬱」を示すの感情のコイントスがあるとしたら、今日の朝の気分は完全にウラ・・・「憂鬱」の面が出ていた。 

深夜の奈緒子の電話に上手く対応できずに、彼女を傷つけてしまったのだ。
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