何処にでもあるラブストーリー
そこまで飲んでしまうと、奈緒子は、カシスグレープフルーツを頼んだ。 僕は変わらずビールを飲み続けた。

奈緒子と一緒にいる時間はとても楽しかった。 奈緒子は僕に唯一息継ぎをさせてくれる女性だった。  クロールでも、平泳ぎでも、どんな泳ぎでも息継ぎは必要だ。 息継ぎをしなければ、酸欠になりたちまち溺れてしまう。 

振り返ると僕は何年も、息継ぎをせずに泳いでいた気がする。 精神的な息継ぎ、癒される時間、奈緒子は僕にそれらを与えてくれた。 
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