今宵、月の照らす街で
「へ?」


成二は眼を閉じる。


「だから無理じゃないって」


葉月は考えを見抜かれたことに驚きを隠せないようで、唖然とした様子だ。


「な…何で…」


成二は溜息を吐く。


「顔に出てるだろ…」


「えっ」


葉月は思わず口を右手で覆う。


驚いた時の、葉月の昔からの癖だった。


「昔から変わらないな…言いたい事が顔に出る」


幼なじみは昔からそうやって考えを見抜くのが得意だった。久しぶりに会い、互いが少し大人びてる様に見え、互いが少し遠いように感じても、根本的な優しさは変わっていない。


そう知った時、葉月は少し嬉しくなって、自然と笑顔が浮かぶ。


葉月の微笑みと同時に入口から澄んだ声が響いた。


「お待たせしました」
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