今宵、月の照らす街で
「只今戻りました」


戻った多香子が、執務室のマルチモニターに映る面々に頭を下げる。


「廉明長官。京都宮内庁対策室所属・梅宮カオルを逮捕、並びに月宮葉月の拘束を指示しました」


『何?』
『どう言う事だね?』


いきなりの多香子からの報告に、廉明はただ驚いた表情を浮かべ、内閣がざわめきを見せる。


「詳細は不明ですが、只今、政都には結界が発生し、ここからの脱出が不可能な状態になってます。それを作り出し、殺戮を行った現行犯として梅宮カオルを逮捕しました」


『…なるほど。それで梅宮と共に政都入りした葉月を危険因子とした訳だな』


「はい。長官の御息女とは言え、私達にも政都を護る使命があります。シロである事を祈ってはいますが…」


多香子は口を閉じる。躊躇った後、もう一度口を開いた。


「率直に申し上げますと、京都宮内庁が心配です」


廉明が腕を組んで溜息をつく様子が映された。


『京都宮内庁対策室内の調査を内々に行おう。約束する。梅宮と葉月に対しての尋問は任せる』


「わかりました」


『政都が術式で封鎖された件の報告と対策もすぐに行おう。國井総理。よろしいですか?』


『同意です。小沢くん、準備を頼む』


「早急に手配します」
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