今宵、月の照らす街で
小龍沢家前。


桜と剣一郎が、数多の魔を倒し終え、膝をついた。


「やっと…やっとケリがついたぞ!」


肩で息をする桜が、膝に手を置く。


「あとは…あの二人…ですね…」


桜の視線の先に、結衣と京介が死闘を演じていた。


「杏里さん…倒れてらぁ…」


「でも、結衣さんの結界で護られてるので、安心ですよ」


その言葉に、剣一郎も安心を覚える。


そんな時、アルファやイプシロンと同等のレベルを持った敵がいた場合、結衣と京介、杏里が闘うと、敵が現れる前に決めた事を、剣一郎はふと思い出した。


先の闘いで、だいぶ力を使ったから、サポートに回そうという気遣いのつもりから来た案だったが、剣一郎はそう思えなかった。


「杏里さんも大変だが…こっちの方が辛いぜ…。なぁ、桜?」


「まぁ…無事に室長が復帰したんで、いいじゃないんでしょうか?」


「そだなぁ…あとは、あいつらに托そう」


「ええ」


そう言って、二人は全てを闘い続ける二人に托した。
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