今宵、月の照らす街で
成二と多香子が答を見出だせないまま、紘子が廉明との距離を縮め始めた。


「紘子ッ!?」


風を駆使し、舞うように動く紘子に、廉明は攻撃を集中する。成二はそれを阻止する為に紘子の援護に入った。


廉明まで僅か10mの距離に至った時、廉明が月輪菊一文字を振りかぶる。


大きな振りかぶりに比例した勢いで、風を裂く様に投げつけられた薙刀が紘子に向かった。


槍を避けつつ空中を舞うが故、紘子にはそれから逃げる術がない。


焦る紘子の前に成二が現れ、成二の渾身の力で生み出した嵐を巻き起こす。


月輪菊一文字と嵐がぶつかるが、いとも簡単に嵐を貫通し、成二の腹部を貫いた。


「……………ッっ!!!!」


「「成二ッ!!!」」


その姿に廉明と姉二人の、対極の表情が浮かぶ。


その中で、成二は傷を受けながらも空を蹴り、廉明までの10mを一気に0にした。


「捕まえたぜ………!」


陰の甲冑姿の廉明の頭を右手で捉え、脚を払った成二は、勢いよく月那主宮家当主を大地に叩きつけた。


『こノ…死ニ損なイがァ!!』


陰の槍が再び増え、成二の身体を貫くが、どんなに血を流しても成二はその手を離さなかった。
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