今宵、月の照らす街で
「千鶴さん!俺達は踏み込まないんですか!?」


「資料見ましたけど、成二と明奈さんだけじゃ…」


「いーから待機!」


歌舞伎町に展開してからこの意見ばかり。


―――じっとしてられないのは私も同じだってば!


確かに、未知数の霊的存在が報告されるのは京都以外では珍しい事であり、不安になるが、対峙してるのは小龍沢家と春日家の血族。


―――いかに私の部隊が優秀でも、加勢にはならない…むしろ、邪魔になるはず…


「ヒロ!状況報告!」


副隊長、飯塚宏康[イイヅカ ヒロヤス]が日本刀を片手に駆け寄ってくる。


「展開は完了。一般人の退避も完了し、結界を張り終えました」


「アリガト」


宏康は報告が終わっても視線を外さない。


「隊長、あなただけでも…小龍沢八龍筆頭・凪家当主なんですから」
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