今宵、月の照らす街で
同時刻―――政都大病院特別棟5階特別室。


小龍沢の2人目…小沢紘子はまだ静かに瞳を閉じていた。


紘子しかいない病室の隅に、陰が集まり、太極印の仮面を付けた黒装束が現れる。


無防備に眠る紘子に近付く脅威―――。


黒装束が手を伸ばし、紘子に触れる直前、蒼玉の瞳を持つ女性が、それを止めた。


「そこまでよ」


静かに佇む淡く、蒼い瞳。


金の髪をなびかせ、その女性は言葉をつなげる。


「200年前と同じ手なんかに引っ掛かる訳、ないでしょ」
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