今宵、月の照らす街で
扉が静かにパタンと閉まる。
そして少しざわめく室内。
デスクとの間はたくさんの人に阻まれていたが、顔の前で手を組む多香子は、少し考え詰めて疲れている様に見えた。
「いいかな、みんな」
室長の声に、室内に静けさが戻る。
「本来ならば私達、小龍沢の血族で対処すべきかもしれない。でも…みんなの力が無ければ、私達の本当の力も出せないの。だから、力を貸して?」
その言葉に、隊長格のスタッフが賛同の声をあげる。
言葉一つでスタッフをまとめあげられる多香子の姿が、弟には大きく見えた。
「ありがとう。じゃあ早速、特別警戒体制を敷きます。尚、治療班は現時刻より西蓮地くんの司法解剖を始めて下さい。立会人は…」
「俺が行きます…死を見るなら梔家が適任でしょ」
成二が見た事のない、真っすぐな瞳を持った男が名乗りをあげた。
「そうね…頼みます、杏里[アンリ]さん」
梔杏里[クチナシ アンリ]は、成二の隣に立つ。
それに少し驚いた成二は、頭をペコリと下げる。すると、杏里は微笑みながら肩をポンと叩いて部屋を後にした。
そして少しざわめく室内。
デスクとの間はたくさんの人に阻まれていたが、顔の前で手を組む多香子は、少し考え詰めて疲れている様に見えた。
「いいかな、みんな」
室長の声に、室内に静けさが戻る。
「本来ならば私達、小龍沢の血族で対処すべきかもしれない。でも…みんなの力が無ければ、私達の本当の力も出せないの。だから、力を貸して?」
その言葉に、隊長格のスタッフが賛同の声をあげる。
言葉一つでスタッフをまとめあげられる多香子の姿が、弟には大きく見えた。
「ありがとう。じゃあ早速、特別警戒体制を敷きます。尚、治療班は現時刻より西蓮地くんの司法解剖を始めて下さい。立会人は…」
「俺が行きます…死を見るなら梔家が適任でしょ」
成二が見た事のない、真っすぐな瞳を持った男が名乗りをあげた。
「そうね…頼みます、杏里[アンリ]さん」
梔杏里[クチナシ アンリ]は、成二の隣に立つ。
それに少し驚いた成二は、頭をペコリと下げる。すると、杏里は微笑みながら肩をポンと叩いて部屋を後にした。