奏。‐カナデ‐





「・・・え」

音楽室でピアノを弾いていたのは、同じクラスで同じ小学校だった『片瀬悠人』だった。

片瀬は、背が高くてどちらかというとバスケ部のようなしっかりした体つきだった。(なんかケンカとかも強そうだし)
性格だって、普通の中学生のように女子には少し意地悪で友達といつも集まって遊んでいるような感じの男子。

どこからどう考えても、ピアノを弾くようなヤツには見えない。


あぁ、でもコイツはやたら手と顔立ちだけはキレイなんだった。

ピアノを弾くような男子は、あたしの勝手なイメージだけど細っこくて弱そうな男の子だと思っていた。



・・・・でも、いま夕方の音楽室でピアノを弾いている片瀬は何の違和感もないような気がした。


似合っていた。

それに相応するほど、ピアノが上手い。



ふと、片瀬があたしに気づいた。


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