父さんと僕
結末
 一人の少年は吼えた。


 今までの屈辱を全てただ一つの叫びに込めた。


「僕は――僕は――!」


 少年はランドセルから一振りの小さな木刀を取り出した。


 背負っていたランドセルを思いっきり窓に投げつける。


――パリィン、と音を鳴らして窓は散る。


 教室中は騒ぎになった。


 窓を割るなんて思いもしなかったから。


 少年は今までやられっぱなしだったから。


「僕はお前らなんかに負けない!負けてたまるか!」


 少年は木刀を振り回す。


 まわりの机を蹴り飛ばす。


 いつもはやられてばっかりだったけど、いつもは相手の顔色を伺ってばっかりだったけど。
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