涙の欠片
「俺はやめとけ」
小さく微かに聞こえた声に次から次へと涙は頬を伝った。
「……何で…」
「俺はお前を幸せにする自信はねぇ」
「あたし、幸せにして欲しいなんて言ってない。リュウの隣にいたいだけ…、リュウと一緒にいたいだけ」
少し声を上げて見上げるリュウの顔は、さっきまでと違って悲しそうな瞳をしていた。
目が重なり合ったままリュウは一向にあたしから逸らす事もなく口を開こうともしない。
何で何も言ってくんないの?
そんなリュウの瞳からあたしはゆっくり視線を落とす。
暫く経ってもまったく口を開こうともしないリュウに、あたしは背を向けて足を進ませた。
リュウの事を諦めた訳じゃない。 ただ今のあたしは、ここに居るのは無理だと思った。
けど、リュウを見て改めて思い知らされた。
リュウが…、好きだって事を…。