バレットフィンク
キョウジとシュンスケはカオルの声に促されて、広過ぎる邸内へと進んで行った。


二人の視線は常に落ち着きがなく、カメレオンの様に様々な場所へと忙しなく動き続けていた。


それ程に壮大な光景であり、自分達との生活に於ける経済格差と言う、逃れようの無い不可抗力と、嘆きに近い溜息を誘発してならない悲哀を兼ね備えた諦観をあっさりと表明するしか、もはや選択肢が残されてはいない程の、淡い羨望と鈍重な苦渋の入り混じった刺激を伴う空虚な胸中に支配されていた。



そして否応無しに、圧倒的な勢いで飲み尽くそうと迫り来る、あの何とも言えぬ名指しがたい欲求が、この哀れな二人を引き止めて離そうとはしないのであった…。



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