せんぱい,好きです
いつもの帰り道を、自転車で帰るあたしと夕木。
世間話もしながら、他愛のないことで笑い合う。
あたしは、この時間が大好き。
親友との笑い合う日々。
このままでもいいかな、なんて思っている。
「そういやあさ、
あおは、好きなコできた?」
「あー……、
いまはまだいらないし」
「……あおと同中だったコに、ちょっと、聞いたんだけど、
あおって彼氏居たりした?」
「……うん」
「マジ? なんか意外!
忘れられないの?
……だから、好きなひとつくらないとか?」
「それは違うよーっ
心配してくれて、ありがとうね!
まあ忘れられないくらい、いいひとだったけど……。
それこそ、夕木と同じで、過去の人だもん」
「そっか!
じゃあ、できたら教えてよ?」
「うん!当たり前。
親友だもんねー!」
「なんか照れるなぁー。」
何故か、照れる夕木。
あたしも夕木につられて、照れて、頬が赤く紅潮した。
2人して、赤面しながら
あたしは青春だなあ〜とか、訳の分からないことを思っていると、
カキーンッ
気持ちのいいスッキリした音が、聞こえた。
ああ……この音、中学の頃、いつも聞いてたなあ。
野球部の、練習するときの威勢のいい声
野球部の、球を打つグラウンドに空高く響く音
好きだったなあ───
あたしは、思わず、
音の鳴る方を向いた。