夢で桜が散る頃に。
菜乃葉へ

今回の事で一番辛い思いをする事になるのは、お前やと思う。
でも、お前を抱きしめて慰めたいと、どんなに願ってもそれは今となっては叶わん事や。
すまん。



「‥謝るんだったら、私を庇う事なんてしなかったら良かったのに」



俺はな、ほんまにお前との子を作りたかった。
野球チームが出来るくらいなぁ。
それで毎日お前とそん子らと、幸せな日々を過ごすんや。
それが、俺の夢やってな。



「‥‥バカ」



でも‥‥夢は叶わんかってもええんや。
俺はきっと、お前に後悔と辛さしか残して逝けれんと思うから。
それでも、俺は幸せやったって事をちゃんとお前に伝えておきたくてな。
お前に会えて、お前に恋して、お前を愛せて、ほんまに幸せやった。
最後はきっと『夢』の様になるんやろな。
そうなったら、俺は世界一の幸せ者や。
愛する人に見送られるんやから。



「‥私は、辛いだけなのよ‥」



なぁ、菜乃葉。
お前はきっと俺の後を追おうとしよんのやろ?
本当にそれでいいんか?
お前の家族は悲しむで?
それにな、お前にはまだまだ人生が残っとるんや。



「人の、事‥‥言えないわよ‥」



これから生きるか死ぬかは、最終的にお前が決める事。
せやけど、俺と一つ約束してくれへんか?



「‥‥約束‥?」



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