涙の終りに ~my first love~
琥珀色の時
サンタクロースの贈り物とシャレたわけじゃないけど偶然クリスマスになった。

オレはこの時、抱くか抱かないかで本当に悩んでいた。
はっきり言ってやりたくないのではない。
そりゃ同世代で誰よりも早く性行為を経験したいし、未知の色んな欲望もあった。
でもそれはキスの時と同じで真子が対象じゃなかった。
何もしなければ”女の子”のままなのにオレが”女性”にしてしまっていいのか。
それは単に自分の欲求を満たすだけで真子はそんな愛情なんかを望んでいないかも知れない。
ひょっとしたらオレは大きな勘違いをしてるんじゃないかと。
そう思えばただ穴があって
ブチ込むだけの行為をなんでやらなきゃいけないんだ。
女は始めての時は痛いぐらい知っていた。

真子に痛い思いをさせる事を何故オレはやろうとしてるんだとね。

悪い言い方をするとキスの償いを身体で払えみたいな感じ。
彼女にして見ればキスの過ちを仕方なくクリスマスに補う、もしそう思ってるんならオレはやらない。
でも今思えば女の方が性行為に興味があったんだと思う。
すべては彼女のエスコートだった。

はじめてのキスと同じく、この時もストーブの明かりだけが部屋を照らしていた。
いつものようにじゃれ合ったあと、軽くキスをすると何も言わず真子は自分からベッドに横になった。

続けてオレが横になると
「真子は妊娠したらどうする?」と呟いた。

ためらう事なくオレは「オマエを連れて逃げる」と言った。

そして初めて母親以外の乳房に口を付けた。
それでもウブなオレはブラジャーの外し方がわからず、モゾモゾ背中をなぞった挙げ句、はずせないまま上にずらしてやった。
透き通るように白い肌に赤いパンティがセクシーだった。

甘くせつない琥珀色の時間が流れ、やがて終わった。

でもそれは性行為のマネごとをしただけで終わった。
はじめての真子にはわからなかっただろうけど、男のオレにはマネごとだとわかっていた。

裸になり重なり合ってSEXという名の扉を握り、開けずに帰ってきたようなもんだった。

だって射精もしていないうちに止めたんだから。

だけどそれでよかった。もう終わりにしたかった。



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