涙の終りに ~my first love~
別れの予感
「真子、妊娠の件だけど?」とオレは単刀直入に聞いた。
すると真子はあっさり
「もう心配ない」とまるでオレが聞いてくる事を予知してように答えた。
すかさず「なんで?」と聞き返すと
「今、生理中だから」と用意していたセリフのように答えた。
ムッときたオレは「そしたら何故早くオレに伝えないんだよ」と怒った口調で話すと
「もう少ししたら電話するつもりだった」と少し詫びるように話してきた。

まだ言いたい事は沢山あったが年上の女性が見ている前でケンカもしたくないのでやめた。だが受話器を置くと
「もう少ししたら電話する・・・ ナメとんか!」と思わず本音が出てしまった。
そしてその女性の方に目をやると
「ほらね」と言いたげな顔でオレを見ていた。

自分でもわかっていた。
真子に振り回されているのは痛いぐらいにわかっていた。
でもその女性の前では怒った様子を演じるしかなかった。
怒って感情的になっているようにしていないとその女性から
”お人好し”とか”騙されたね”と言われそうで、その言葉を聞くのが嫌だった。

妊娠していない事は始めから分かっている。

だとしたら真子は始めからオレを騙してもてあそんだのか、
それとも妊娠したと言って愛情を試す意味でオレがどんな行動を取るか知りたかったのか・・・。
騙してオレの心をもてあそんだとは思いたくない。
そしたらもし愛情を試されたのならお金を集めたオレの行動は正しかったのか?

本当は受話器を置いた後、真子に会い殴るぐらいの男気が必要だったのかも知れない。

ただこの一件で何をやっても許される、絶対に怒らないユウジを真子に印象付けてしまった。


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