涙の終りに ~my first love~
クレオパトラ・マミ
次の日、学校に行くと先に来ていた進一が
「ユウジ、あの後どうなった? 無事に逃げれた?」と心配しながら駆け寄ってきた。
オレはそんな進一に
「あれぐらい人数なら片手で十分よ」と親指を立てながら自慢げに話すと、
進一は一瞬目を丸くして
「えっ!」っという表情をしたが、すぐに冗談だと思いジャレてきたので
「無事に帰ったよ」と本当の事を話した。

勉強なんて全くやらなかったけど進一や色んな仲間に囲まれていると高校生活はやはり楽しく、もし高校にいかずブラブラしてたら真子の事から立ち直るまでかなり時間が掛かった思う。

気持ちの切り替えが早かった分、今までの別れとは違い何もかもが変わった。

例えば見慣れたはずの街並みがどこかいつもと違って見えたり、
バス停の弁当屋の電飾さえ
「こんなに明るい色だったんだな」とか思うようになった。

要は真子との関係を完全に断った事で、気持ちにゆとりが出来たんだと思う。
今までは何度別れても、やはり心のどこかで再び戻って来る事を待っている自分がいた。
それが今回はオレが別れを告げたので、オレの方から寄りを戻そうとしない限り復活は有り得なかった。

真子の方と言えば、正直なとこ飼い犬に噛まれた感じだったと思う。

始めはユウジがそうしたいんなら勝手にすれば的なムードだったが、
数日が過ぎて冷静になれば100%自分に非があったのは明らかだ。
そうすると何をやっても許してくれたユウジの事だから、謝ればなんとかなるぐらいに思っていたと思う。
現に中学の時からオレと真子を知る友人等が
「ちょっと真子の事で話したい」とか「真子の話しも聞いて」などと言って来ていた。

だけどオレは真子の事が絡みそうな相手には一切会わなかった。
それは偶然どこかで出合ったとしても同じで、
極端な話し会話の途中で真子の真の字が出たらテーブルをひっくり返すぐらいの拒絶ぶりだった。

もう思い出したくもなく、相手が誰であっても真子の事には触れて欲しくなかった。

そんな日々を過ごしながら帰りのバスの中で久しぶりにマミに会った。
やはりマミと会うと何故か心が落ち着き、異性という感覚が全く、
「こいつは真子の話しはしない」という安心感もあった。

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