涙の終りに ~my first love~
再開
とうとうこの夜がやって来た。

3年半振りの再会だ。

オレはあの頃と同じように何を着て行くかで迷い、
我ながら進歩も成長ないなと苦笑いだった。
ジャケットにGジャンと部屋中に広げ散々悩んだ挙げ句、
いちばんオレらしいと思ったジーパンとダブルの革ジャンで出かける事にした。

多分、過ぎたのは時だけであの頃と何も変わっちゃいないとアピールしたかったんだと思う。

すべてを整え鏡の前に立つと、最後にもう一度リーゼントにクシを入れて部屋を出た。

このまま行けば約束の時間より20分以上早く着いてしまう、
待つ事も待たせる事も嫌いな性分だけど、家に居たところで早く逢いたいという気持ちが高まるばかりで行動せずにはいられなかった。
この日の為に磨き上げた車のドアを開けエンジンキーを差し込むと、
用意していた”恋のテディボーイ”が流れてきた。
クールスの音楽をバックに馳せる気持ちを抑えハンドルを握り、
ゆっくりと車を走らせ約束のコンビニに近づくと、青いスーツ姿の女性が一人立っているのに気付いた。

ウィンカーを上げながら「まさか・・・ 約束の時間にはまだ早いけど・・・ 」と
思いながら駐車場に車を入れると

そこに待っていたのは捜し続けた真子だった。

悪夢や色んな思いに悩まされたけど、捜し続けた彼女が今そこに立っている。
驚いたオレは慌てて運手席から手を伸ばし助手席のドアを開けて
真子に合図をすると、小走りに駆け寄って来た彼女はオレの車に乗り込むと同時に

「ユウジ、逢いたかった・・・」

と涙声とも受け取れるような早口で言った。
オレも「ホンモノの真子だ!」と言いながら彼女の右手を取ると、
身体ごと寄り添うように左手を重ねてきた真子は

「ユウジ、私が悪かった・・・ 本当にゴメンなさい」と真っ直ぐにオレの目を見つめながら祈るように言った。

それはまるで傷付けた過去へのつぐないのようだった。

「こんな私なのに逢いたいと想ってくれてたなんて嬉しかった・・・ 本当にゴメンなさい・・・」

この言葉を聞いた時、真子がオレに逢いたかった真の目的は自分の非を詫びる事だったんだなと直感した。
この時の彼女の瞳に嘘、偽りはなかった。
正直に胸の内を語ってくれた本音だと思う。


< 85 / 105 >

この作品をシェア

pagetop