[短]6月の第2ボタン

それでも僕は『彼女』が大好きだった。


『彼女』を愛していた。


一生で好きになるのは、『彼女』だけだと、信じて疑わなかった。


今、僕の隣に、『彼女』はいない。



「お願い。あたし、それだけで強くなれる」



彼女の声は、もう僕の耳には届いていなかった。


思い出された記憶が僕を包み込んでいた。


鼻をすする彼女に、僕は、瞳を向けることさえ

…出来なかった。




一緒に水に濡れた紫陽花(アジサイ)に触れることも、

共に虹が輝く空を見上げることも、

水たまりだらけの道路を並んで歩くことも、

雨を見てはしゃぐ君を見ることも

きっともう2度とない。


それでも僕は好きだった。愛していた。

一生に一度の、忘れられない恋だった。


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