赤りんご

『ありがとう』






悪夢の一日が過ぎて、次の日学校に行こうか迷った。



教室には佐々木さんがいるし、亮太の元カノとも廊下で会ってしまうかもしれない。



そう思うと少し怖くなったけど、彩花や心配してくれたみんなにお礼が言いたい。



何より亮太に会えない方が心細かった。




夏休みが明けて、また毎朝亮太に電話をかける日々が始まる。



朝、ベッドの中で携帯とにらめっこをして、電話をかけようとしたけどためらった。




すると、亮太から電話がかかってきたんだ。



「おはよ、起きてた?」



「うん…おはよ。珍しいね、電話してくれるなんて!」



「…迷ってるんなら学校来いよ!俺がいるんだから」


その言葉で心は固まった。



「うん!行く!」




ギリギリの決断だったから、急いで支度をして家を出た。



学校の最寄駅に着くと、心配してくれた亮太が待ってくれていた。



優しいね…


すごく嬉しいよ。



守ってくれてるんだって、亮太の気持ちが伝わってくる。





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