ゆき【短】

ゆきちゃん






「ゆきちゃん!雪が降ってるよ!」

「有紀、それわざと?」

「え?」

「何でもないや。有紀わかってないから。」


1月。
お年玉であたしたちは、遊園地に来ていた。

ゆきちゃんこと、相沢祐貴(あいざわゆき)はあたしの幼なじみの男の子で、2歳年上の中学3年生。

学校でみんなが『相沢先輩』って言わなきゃいけないのに、あたしだけ『ゆきちゃん』って呼んでることが自慢のうちの1つ。

そしてあたし、佐藤有紀(さとうゆき)。
ゆきちゃんと同じ名前なのが、もう1つの自慢。

大好きなゆきちゃんと、同じ名前。



「ゆきちゃん!次お化け屋敷入ろう!!」

「え、有紀あれ苦手じゃなかったっけ?」

「もう克服したのー!」

ゆきちゃんと繋いでいる手をぐいぐい引っ張る。

あれに入って、怖がりな可愛い女の子を演じるのよ!

よし、完璧!



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