独眼狼ーワンアイウルフー
「…はい、マクスウェル様。私は…ずっとマクスウェル様のお側に…」
その言葉に安堵したのかマクスウェルは、ティファナを抱きしめる腕の力を少し緩めた。
そして、ティファナの頬に唇を落とす。
「愛している…ティファナ」
「私も愛しています、マクスウェル様…」
そう呟き、ティファナは瞼を閉じる。
先程の戦闘での疲労のせいか、ティファナは睡魔に襲われた。
──……意識が揺いでいく中、ティファナの脳裏に声が響いた。
それは最愛の者の声ではなく、姿も知らないケルベロスの操縦士の声。
(…エディリア)
ティファナを違う名前で呼び続けるあの声を、ティファナは知っているような気がした。
だが、マクスウェルと出会う前の記憶を失っているティファナには、あの声が誰のものなのか分からなかった。
(…エディリア)
ティファナの知らない名前を呟く声が、悲しげに響く。
その声に、ティファナは胸が締め付けられるような気がした。
…なぜ、ケルベロスの操縦士の声が悲しげに響くのか。
…なぜ、その声を聞き自分が悲しんでいるのか…。
それすらも分からないまま、ティファナの意識は完全に眠りの中に消えていったー…。