サンクチュアリ
「ねえ、深見先輩。これから時間ある?」

「ん、あるけど?」


いつの間にかごく自然に肩を並べて歩きながら、深見先輩はあたしの問いかけにあっさりとうなずいた。

うん、ちょっと良いこと思いついちゃった。


「あのさ、どこかでケーキか何か食べない? もちろんあたしの奢りで!」

「後輩の女の子に奢ってもらうのも、男としてどうなんだろう」

「いいの、今日はバレンタインだから特別なの!」


ちょっと子供みたいな言い方になっちゃった。はしゃぎすぎだよ、あたし。

そしたら深見先輩までが「はいはい」なんて、子供をなだめるみたいな顔でうなずいた。
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