中曽根工業高校
「彼女ほしくて毎日ヒマなやつなんて、クラスにごろごろいんだろ。他のクラスにも。その辺で埋め合わせればいい」

確かに、顔の広いヒノケンが言うと説得力があった。

「俺……行こうかな」

キノは手を小さく挙げた。

「えっ……お前、いいのっ?!」

「そっちが誘ったんだろー」

自分から誘ったくせに、ノッたらひいてきたヒノケンに、キノは頬を膨らませた。

「いや、断られる前提で……記念受験みたいなつもりだったんだけど」


「べつに、俺……彼女いないし。ほしいし」

「えっ……お前、ふられたの??」

そう考えてしまうくらい、キノの反応は予想外だった。

「毎日ふられてるっ!てか伊澄ちゃんいるんだから……」

(あ、そか……)

本人から聞いていないので、キノのりょうへの片思いを伊澄は知らないことになっている。


しかし、口では言わなくても、キノのりょうへの言動でバレバレだった。
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