one contract

one contract -mark 11- 菫目線




イヤだ、イヤだ。センパイなんかとするくらいなら‥‥。

センパイから無理矢理押さえ付けられたボクは身動きが出来ない。
そんなボクに、どんどんセンパイの顔が近付いてきて‥‥。

だから、
さっきから、
イヤだって‥‥、

「言っているでしょ―――――ッ!!!!」

ドッという鈍い音がボクの耳にしっかりと届いた。
それはボクがセンパイの腹部を思いっ切り蹴飛ばした音。
押さえ付けられているのは手だけで、足は最初から自由気まま。
なんだ、最初からこうすれば良かったんじゃん。
ボクの突然の行動にアオちゃんたちは唖然として、ぽか~んと口を開いていた。

「‥‥菫、お前ムカつくって気がする」
「それはこっちの台詞だし!!人が嫌々言っているのに無理な事しようとするなんて、」

サイッテーって、気がするけど?

と台詞を奪ってやると、奇妙な笑みを浮かべた。
ボク、その顔キライ。
センパイはなんっにも無かったかの様に立ち上がると、んじゃ、オレはこれで。とそれだけ残して去って行った。
‥あれだけの音がしたのに、痛くないのっ!?


「‥スミレ、大丈夫だった?」
「うん、大丈夫っ!」

駆け寄って来たアオちゃんに、笑顔で返事を返した。
久しぶりに見た顔、聞いた声。
胸の鼓動が、少し速くなったのが分かった。
アオちゃんはこれだけ確認すると、直ぐにボクに背を向けて歩き出す。

「お、おい。何処行くんだよッ!」
「生徒会室。あそこなら授業中に誰も来ないし」

此処に居ると日に焼けてしまうからね。
そう言いながら扉を開けて、階段をどんどん降りて行ってしまう。

ボク、訊きたい事があるのに‥ッ!
‥‥言いたい事も!!


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