君は君のままでいて
恐怖の嵐の中で、僕は局長の顔をまともに見ることが出来ないまま、緑風に抱き抱えられたような体勢でズルズルと引きずられるようにして部屋を出た。


「み、み、み、緑風っ!」


しばらくあわあわと混乱していた僕だけど、緑風と付き合いが出来てからこっち、こんな事態は実は日常茶飯事だったりするわけで。


どもりながらも、緑風の名前を呼んで、引きずられている人形みたいな状態を抜け出した。


「んん?
何、どうした?」


僕よりも頭半分ぐらい高い位置から、緑風の低く響く心地よい声が降りてくる。
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