another contract
another contract -mark 1- 桃目線
菫と葵さんの一軒があってか。
紅と付き合う前、契約する前の事を思い出した。
私たちはどういう風に、契約する前を過ごしたっけ。と。
本当に、たくさんの悲しい事、辛い事があった。
楽しい、嬉しいと思った事は倍少なかった気がする。
でも、今はその分幸せだから良いんだけどね。
「聞きたい、聞きたい~っ!!」
「‥は、恥ずかしいよ」
「僕も聞きたいなぁ、先輩の武勇伝」
「‥武勇伝じゃねぇよ」
街の木々が赤や緑のリボンや、鮮やかな色の電球で飾られる頃。
冬休み前の連休に、私たちは学校の生徒会室でお茶会をしていた。
菫が家に来たいって言い出して、それはちょっと困るから。
と言うものの、どんどん押してくる菫に困った私を見かねて、会長‥葵さんが此処がいいんじゃないかって提案してくれた御陰で、なんとか逃げる事が出来た。
別にそこまで困るってわけじゃないけど。
まぁ、‥いろいろとあるんだよね‥。
2学期の中頃に前期の生徒会が終わり、後期の生徒会が始まった。
そして、後期生徒会長に私は選ばれた。
だから生徒会室の鍵に困る事はない。
最初は3学期の行事にどんな事をしたいかとか、そういう事を話していたのに‥
どこからどんな風が吹いたのだろう。
いつの間にか話のお題は『恋愛』へ。
「お、お前らそろってウゼェ」
「今に分かった事じゃないでしょう?いいから聞かせてよ」
「聞かせてよぉ~」
「‥‥桃、どうする?」
「えぇ!?こ、紅が決めて!」
訊かれても困るよぉ。
この2人、すごい目をキラキラさせてるけど‥‥
「‥‥空気重くなっても知らねぇぞ」
うん、そうなんだよね。