another contract

「集会の時はさ、皆集まってするって聞いてるよ?なのに貴方達がここにいるのは何故かな?」
「浦波様には関係の無い事です」
「悪いけど此処に来る前、屋敷の中全部見たんだけど‥‥先輩いなかったんだよね」
「外出でもなさっているんじゃないのですか?」
「携帯は先輩の部屋にあったし‥、でも先輩は外出の時必ず携帯持ってくし」
「「‥‥」」
「で、ここに来たら集会の筈なのに屋敷内の人がいた」

紅さんが屋敷内にいないって‥‥どういう事?
学校は、今日も休みだった。
必ず持ち出す筈の携帯電話も置きっ放し‥

「その扉の中に、何を隠しているの?」

葵さんはその古惚けた扉をゆっくりと指差した。

「さっきから聞こえるんだよね‥」

何かと何かがぶつかる音と、
‥‥誰かの痛々しい声が。

そういえば、耳を澄ませば聞こえる‥‥。

何?
何の音?
何の声?

体に寒気が一気に走り抜ける。

この声、聞いた事ある気がする‥‥。
ま、まさか‥‥

「退いてくれなければ、力ずくで退いてもらう事になるよ?」

葵さんは、一人の胸倉を乱暴に掴む。
この行動から、3人は争い始めた。

足が震える。
人の殴り合いなんて、目の前で見たのは初めてだった。
殴り合いといっても、葵さんは蹴りが中心だけど。
私は、震える足を思い切って踏み出した。
そして目指すは、守る人が不在となったその扉。



この中に、紅さんがいるっ!!



「君、待ってッ!!」

葵さんは2人の相手をしながら慌てて叫んだ。

「その中に先輩がいる!でも、その中にもコイツ等と同じ様なヤツがいる筈だ!!君一人じゃ危険だっ!!」

そんな言葉は、頭に入ってこなかった。

ただ、紅さんに会いたい。
会って言いたい事がある。

その一心だったから。

私は扉を押し開ける。

そして目に飛び込んできたのは‥‥





真っ赤に染まった絶望だった。



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