another contract
顔を上げれば、心配そうな顔をして立っている紅と目が合った。
紅はしゃがんで、私と同じ目線になる。
そんな紅に、私は思い切り抱きついた。
「どうしたんだよ、俺が急にいなくなって不安になったのか?」
んな、泣きそうな顔してよぉ。
紅はそっと私を抱き返しながらそう言った。
私にはもちろん、反論は無い。
「‥ず、図星かよ」
「うん‥」
それでも紅は優しく私を抱きしめてくれた。
さっきまで寒く感じた身体は、とても温かくなっていた。
『‥‥スミレ、出ちゃ駄目だよ?今イイトコなんだから』
『何で?』
何か、聞こえるけど。
『あの2人のこういうラブシーンはね、なかなか見れないの』
『へぇ~、じゃ、ちゃんと目に焼き付けておかないとッ!』
『そうそう、そういう事‥』
紅は私を開放して勢い良く立ち上がると、生徒会室のドアをバンッ!!と開けた。
「てめぇら!趣味悪ぃぞッ!!」
「あらら、バレちゃった」
「『バレちゃった』じゃねぇッ!!こんのエロ眼鏡がーッ!!」
「どーも。褒め言葉として貰っとくよ」
「誰も褒めてねぇ!誰もッ!!」
「あ~、確かにアオちゃんエロいよね」
「‥‥スミレ?」
「んな事は、どーでもいいんだよっ!この野郎っ!!」
顔を真っ赤にしながらそう言う紅を見て、私の中にさっきまであった不安が無くなっていくのを感じていた。