Bitter Love〜苦くて切ない恋〜
あたしは酒飲みだけど、甘いものが嫌いな訳ではない。

「中沢さんは、好きなんですか?

甘いもの」

「結構好きだよ」

意外だと思った。

“美貌”と言うほどでもないけど、かっこいい顔をしてるのに、甘いもの好きだなんて。

ちょっと、おかしい。

「中沢さんって、モテそうですよね」

あたしは言った。

「ん?

どう言うこと?」

「学生時代とか、モテませんでしたか?」

中沢さんはおかしいと言うように笑うと、
「そんな訳ないじゃん」
と、言った。

「ウソばっかり。

本当はモテモテだったんじゃないんですか?」

あたし、何言ってるんだろ。

「雪ちゃん、怒ってるの?」

中沢さんが心配そうに聞いてくる。

怒ってる、訳じゃない。

ただちょっと、あたしを見ていて欲しかっただけ。

見ていて欲しかったから、言っただけなんだよ?

「中沢さ〜ん。

これくらいにしてあげましょうよ〜」

それまでグラス磨きしていた芯が、突然言った。
< 16 / 61 >

この作品をシェア

pagetop