Bitter Love〜苦くて切ない恋〜
「今は、どうなの?

中沢さん、お店きてるの?」

「昨日きたじゃん」

「毎日、は?」

「昨日が結婚して初めてきたんだ。

毎日くるかなんて、わからないよ」

「でも結婚する前は常連さんだったって」

「結婚する前はね。

今はどうだかわかんないよ。

中沢さんにだって、都合があるんだし」

「都合って、何よ?」

あたしの質問に、芯は疲れたと言うように、ため息をついた。

「あのさ、どうして聞きたがるの?」

芯に言われて、ハッとなった。

「…何となく、じゃない」

「何となくでもさ、何で知りたがるの?」

あたしは、何も言えない。

「雪ちゃんが知りたがったって、ムダだよ?

中沢さん、結婚してるんだし」

「…わかってるわよ。

さっき聞いたから」

「わかってるんだったら、もう聞かないこと」

年上ぶるように、芯が言った。

あんた、あたしよりも2つ下でしょ。

芯はあたしが何も言わないところを見ると、グラスを磨き始めた。

あたしはそんな芯を横目で見ながら、一気にお酒を飲んだ。
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